Top / D / 2012-08-05

フリーランスが知っておくべき4つの条文

僕自身の自衛のために主に独禁法、下請法、商法をかじりました。僕のようなフリーランス(プログラマ、楽曲制作、演奏家)が下請けをする上で役に立つ法律をいくつか見つけたので少し紹介したいと思います。特に下請法は下請けイジメに対して厳格ですから一読しておくと今後にも役立つと思います。下請けイジメに悩むフリーランスや中小企業の方の気付きを喚起できれば幸いです。

1. 追加工数についての請求は正当(商法512条)

商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる。

例えば口約束で作業依頼した時に金額の話をしなかった場合でも後からの請求は正当です。「頼む時にお金の話なんかしなかったんだから請求なんて受け付けないよ」て主張は不当なんですね。また、システム開発でよくある、当初予定していなかったような明らかな機能追加などは追加請求が認められるケースが多いです。どこまでが想定内でどこからが追加分なのか、はっきりさせておくと良いでしょう。

これも相当と認められる場合に有効なので、例えば「私はツイッターの発言を職業にしており、あなたには返信してあげたのだからお金よこせ」という主張は裁判では通らない可能性が高いでしょう。

2. 発注の取消は当初の契約どおり請求できる(下請法4条1項1号)

(親事業者の遵守事項)
第4条親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,次の各号(役務提供委託をした
場合にあつては,第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
 一下請事業者の責に帰すべき理由がないのに,下請事業者の給付の受領を拒むこと

依頼を正式に受けた後に取り消しがあった場合、下請法的には親事業者の受領の拒否を宣言したことになります。下請事業者の責めに帰すべき理由にはなりませんから受領を拒否することはできないので、原則納品の後に全額請求できます。とはいえ、例えばソフトウェアの開発やイラストやBGM等の作成の場合は、取消時点で完成していない事もあり、この場合は損害賠償した上で発注を取り消すことも認められる場合があるそうです。いずれにせよ基本的には最低限、当初の契約に基づいて行った分は支払ってもらえる(損害賠償請求が認められる)ことになっています。

3. 押し付けられた無理な納期に間に合わなくて減額するのは違法(下請法4条1項3号)

(親事業者の遵守事項)
第4条親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,次の各号(役務提供委託をした
場合にあつては,第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
 三下請事業者の責に帰すべき理由がないのに,下請代金の額を減ずること。

下請法では「下請事業者の責に帰すべき理由」なしに代金を減額して払うことは禁止されています。例えば契約成立後に親事業者の都合で一方的に納期を早められ、結果納期が守れなかったとしてもこれは責に帰すべき理由にはならないので減額は不当です。減額に関しては下請法の核にあたり、かなり細かく厳しい規定がされています。例えば下請事業者への代金振込時に手数料を勝手に引いた金額で振込みを行った場合、これが契約書に書かれていない場合は手数料分が下請代金の減額にあたるとされるくらい細かいです。

4. 不当なやり直しは費用を請求するべき(下請法4条2項4号)

2親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,次の各号(役務提供委託をした場合
にあつては,第1号を除く。)に掲げる行為をすることによつて,下請事業者の利益を不当に害
してはならない。
 四 下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに,下請事業者の給付の内容を変更させ,又は下
請事業者の給付を受領した後に(役務提供委託の場合は,下請事業者がその委託を受けた役務の
提供をした後に)給付をやり直させること。

ソフトウェアの開発やイラスト、BGM等の制作で制作条件を正確に書面にすることができない場合、納品時の検査で不合格になる可能性があります。返品は納品物が発注書の内容と違う場合であり、この場合下請事業者の責めに帰すべき理由にはならないので返品にはなりません。やり直しさせる場合でも追加費用をすべて下請事業者に負担させてやり直しさせるのは不当なやり直しにあたる可能性があります。この場合、やり直しになった経緯を踏まえて十分な協議の下で合理的な負担割合を決定してそれぞれ負担するのであればやり直しをさせても下請法上問題になりません。(下請契約トラブル解決法P.98)。ただ、納品物の内容が明らかにクオリティーが低い場合など必ずしも親事業者の責任とは限らないのでやり直しの負担割合を十分協議することが大事なのでしょう。

経緯や負担割合の相談もなく一方的にやり直しをさせるのは論外ですね。


下請法が適用されない状況でイジメられている場合

例えば資本金1000万円の会社と個人事業主の間では下請法は適用されません(内容がプログラムの場合)。ただ、下請け側が親会社に仕事を大きく依存している場合、独禁法の「優位的地位の濫用」「不当な不利益を与えるもの」「不公正な取引方法」等の適用が期待できます。フランチャイズの例では、独禁法の大前提である市場独占状態でないにもかかわらず適用されています。下請けで不当な扱いを受けて困っているのであれば泣き寝入りせずに相談してみましょう。親事業者が中間の会社を介して再委託することによって下請法を回避しようとしている場合、それはトンネル会社とみなされ、親会社との間で下請法が適用される可能性があります。

資本金によって下請法の適用外だからと言って親事業者が何をしてもいいという法は無いはずです。下請法が不当な下請けイジメの解消を目指している以上、実質的な下請けイジメが存在するのであれば何かしらのアクションが期待できると信じています。

法的措置を取らざるをえない場合どうしたらいい

公正取引委員会は数千万円規模の不当な減額を勧告するのに忙しいですが、親事業者への勧告以外にも遥かに多くの警告をしています。公正取引委員会はインターネットによる申告を受け付けています。中小企業庁やひまわり中小企業センターでも相談にのってもらえます。ひまわり中小企業センターでは専門の弁護士さんを紹介してもらえますし、初回の30分は無料をうたっています。

その他



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Last-modified: 2012-08-05 (日) 18:39:53 (1729d)