Top / D / 2011-04-19

ローインターバルリミットの怪

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小雨、風が強い。そこそこ冷える。カサブランカが日に日に大きくなっていく。毎日が楽しみだな。スノードロップはなんだかもうダラケてる。

低音を複数鳴らしたときにお互いの倍音が濁って汚く響く。じゃあどれだけ低い音がどれくらい離れた音となら濁らないのかという限界を定義したのがローインターバルリミット。でも厳密な定義は無い(あっても定義する人によってまちまち)。倍音の出方は楽器の種類によって違うし、同じ楽器でも倍音の出方が違うからだ。最終的には耳で聞いて判断するのが良い。例えば、以下のe♭(2)とf(2)を長2度のローインターバルリミットとする定義方法がある。

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しかしクラシックにはリミットを越えるものはけっこうでてきて、今日だけでもベートーベンの悲愴ソナタには以下の音が出てきた。これは上記の定義でいうとローインターバルリミットを越えている。上記の定義に従うと、この和音は濁っている。

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じゃあベートーベンはローインターバルリミットを知らなかったんだろうか?そんなことはないだろう、濁っているのを承知であえてこの場所に濁りが必要だと思ったのだろうか?こんなきれいな曲に?ニワカ的に調べてみると、ベートーベンの生きた時代はピアノが劇的に変化しつつあるというか、ベートーベンが注文つけて試行錯誤していた時代。このピアノソナタ8番を書いたのが1798年、初期に分類される。当時使っていたピアノはおそらくシュトライヒャーの1796年に贈られたピアノか1788年に贈られたシュタインのピアノ。いずれにせよ音域は5オクターブ程度で、現代のピアノのような重厚な低音は出なかったのではないかと予想すると、ベートーベンのピアノではこの音は濁ってなかったのではないか。現代のピアノは響きが良すぎて、昔に作られた曲を演奏すると低い音が濁ってしまうことがあるのかもしれない。

しかしクラシック曲の場合、濁っていると判断した所で、音を変えて弾くことは政治的なリスクが伴う。元々濁ってる曲なんだと無理やり納得するか、強弱でなるべく濁らない弾き方をするか、くらいかな。



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Last-modified: 2011-04-21 (木) 14:09:05 (2309d)