ギターの倍音が揃ってない件

ギターの間違ったチューニング方法にて「信じられないような話だが、楽器の特徴により倍音は正しい倍率の音で出ていない事がある」について実際にスペクトラムアナライザーで測定してみた。測定に使ったギターはYAMAHA Pacifica PAC721HD、フローティングブリッジでナットがロックするタイプ。ダイレクトボックスとしてマルチエフェクターをバイパスでつなぎ、PCにライン入力、ソフトはWaveSpectraを使わせてもらった。演奏時と同じ状態になるようにギターを構えた状態で単音のみ弾いてサンプリングした。余韻の安定した適当なところでスナップショットを撮り、WaveSpectraで各波形の山をクリックして表示されたHz数を目視し、PictBearで書き込んだ。なのでもしかしたらスナップショットに写し間違いがあるかもしれない。

表の理論値は純正律を書いた。実際に測定してみて驚いた。素人が観測できる程度に倍音がずれているなんて!ブリッジ側で弦にテンションを掛けずにロックするタイプだとまた倍音の出方が変わってくるだろうか。特に高次倍音程ズレが大きく見えるが、Hzだと累乗になる(っていうんですか?大きくなるほど差も大きくなるやつ)らしいので差が大きく見えるだけかもしれない。低次倍音でも5弦4倍音や6弦4倍音あたりで既に1Hz程度のズレが出ている。おそらく倍音の揃い方はそれぞれのギターが持っているものなのだろうが、少なくともこのギターは純正律云々以前にハーモニクスチューニングでは確実に合うわけがない事がわかった。

それでも君はハーモニクスだけでチューニングするかい?

  • 1E
    基音2倍音3倍音4倍音5倍音6倍音7倍音8倍音9倍音10倍音
    理論値330.0660.0990.01320.01650.01980.02310.02640.02970.03300.0
    実測値330.1660.5991.21321.91652.71983.12313.12643.52975.63306.7
  • 2B
    基音2倍音3倍音4倍音5倍音6倍音7倍音8倍音9倍音10倍音
    理論値246.9493.8740.7987.61234.51481.41728.31975.22222.12469.0
    実測値246.6493.2740.5987.81235.11482.11729.41976.72224.32472.3
  • 3G
    基音2倍音3倍音4倍音5倍音6倍音7倍音8倍音9倍音10倍音
    理論値195.9391.8587.7783.6979.51175.41371.31567.21763.11959.0
    実測値195.8392.0588.1784.6981.81179.61377.11575.01770.81972.0
  • 4D
    基音2倍音3倍音4倍音5倍音6倍音7倍音8倍音9倍音10倍音
    理論値146.8293.6440.5587.3734.2881.01027.61174.71321.51468.3
    実測値146.7293.4440.8587.8735.5882.51029.91178.31326.31474.4
  • 5A
    基音2倍音3倍音4倍音5倍音6倍音7倍音8倍音9倍音10倍音
    理論値110.0220.0330.0440.0550.0660.0770.0880.0990.01100.0
    実測値110.0220.4330.7441.4552.1662.5774.2885.6997.31109.0
  • 6E
    基音2倍音3倍音4倍音5倍音6倍音7倍音8倍音9倍音10倍音
    理論値82.5165.0247.5330.0412.5495.0577.5660.0742.5825.0
    実測値82.4165.5248.3331.7414.9498.3582.1666.5750.6835.1

1E_analyze.png 2B_analyze.png 3G_analyze.png 4D_analyze.png 5A_analyze.png 6E_analyze.png WS_conf1.png WS_conf2.png WS_conf3.png file倍音計算.xlsx



[ 編集 | 凍結 | 差分 | 添付 | 複製 | 名前変更 | リロード ]   [ 新規 | 一覧 | 単語検索 | 最終更新 | ヘルプ ]
Last-modified: 2011-01-27 (木) 01:31:47 (4835d)