こんこんさまにさしあげそうろう

雨。そこまで冷えないが油断してると少し寒い。

僕のまわりでも、ちらほら結婚していく友人も増えてきたが、この本をお祝いにすることにしている。しかし僕はこの本の結末を知らない。雪山で生活する狐親子の話だったと思う。今聞いてみたところで、そんな事あったっけなんて笑われそうだけど、僕がまだ小さい頃、母はこの本を読み聞かせしてくれた事がある。そんなに悲しい物語だったのか覚えてないけど、途中まで読み進めるうち、母は泣き出し、これ以上読み進められないくらいにぐしゃぐしゃに泣き出し、ごめんねのつぶやきと共に読み聞かせは中断になった。いろんな絵本を読んでもらったけど中断になったのは、この本だけだ。その後今に至るまで僕はこの本の結末を知らない。結末を知らないが、この記憶は強烈に印象に残っており、絵本を読み聞かせて泣き始める母、というのは以後現在に至るまで僕の母親像になって幸か不幸かわからないけど、少なからず僕の人格を作る一要素になったと思う。友人たちもやがて親になる時もくるだろうが、その時は最後まで読み聞かせられなくてもかまわないから、我が子にこの本を読んであげてほしいと個人的に思う。

僕の中での母は、いつまでも「こんこんさまにさしあげそうろうを読んでくれた母」である。



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Last-modified: 2009-11-11 (水) 20:14:36 (5273d)